ドンッ‼︎
「きゃあっ!」
下を向いたまま走っていたせいで、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
お尻が痛い。
床に着いた手も。
胸も……痛いよ……
「ミヤ?」
「落合?」
痛くて顔を上げられないでいると、聞き覚えのある二人の声に勢いよく顔を上げた。
「せ、んぱい……」
「お前…泣いてんのか?」
そこには私を見下ろすようにして、先輩と田中先生がいて。
私の酷くグチャグチャな顔を見て、目を見開いた。
先輩はすぐに私の目の前にしゃがみ、顔を覗いてくる。
「あ……」
口を開いて、咄嗟に言葉を飲み込んだ。
この事、先輩に言ってもいいの?
恐らく先輩と関わってることが気に食わなくてこういう事をしてきてるのに、それを先輩本人に言ったらどうなる?
もっと犯人を刺激しちゃうんじゃないだろうか……
それに、先輩も自分のせいだって気にしちゃうかもしれない。
先輩に迷惑を掛けるのは、駄目だ。