先輩とは言い合いばっかで。


勝手にペットにされるし、先生との恋を邪魔されるし、とにかく散々だけど。


先輩といる時間が、妙に心地良かった。


それは、私が先輩に少しでも気があるからなの……?



ゆっくりと顔を寄せる先輩。




ーーーーーーキスされる…




気付いたら私も自然と目を閉じて。


その瞬間、唇に胸が震えるような温もりが落ちた。



「……せん、ぱい」



触れるだけのキスは過去二回された時よりも気持ち良い。


強引じゃないから?


……私もしたかったから?



思わず腕を先輩の首に回して、「もっと…」って強請ってしまいそうになる。




「ミヤ。俺の物になれよ……」



そう声を震わせる先輩は、いつもの自信満々な彼とは全くの正反対で、弱々しく見えた。






私は昔からよく、小さくて小動物みたいだねって言われて来た。


良い意味でも悪い意味でも天然で、こう見えて猪突猛進。


自分のことで精一杯になると周りが見えなくなるから気を付けなさいって、お母さんに注意され続けたのに。


どこで間違えたんだろう。



ーーーーー私は、周りが見えてなかったんだ。



一番、見落としてはいけないところだったのに……