俺様主人は時に甘い


「先輩が素を?」


「うん。それって雅が特別ってことでしょう?」



……そうなの?そういうもん?


私はバレても問題ない相手だった。


ただそれだけなんじゃないかな…



「とにかく、例の手紙のこともあるし。このまま先輩が離れてくれた方が雅にとってはいいんじゃない?」


「うん…そう、だね……」



鈴菜の言う通り。


先輩と関わらなくなったら、あの手紙が来ることはもうないかもしれない。


今見ても、あの手紙は本当に恐ろしくて。


暫く下駄箱を開けるのが怖かった。



その恐怖が、もしかしたら終わるかもしれない。




なのに…


気が進まないのは、なんでだろう。



先輩と話せなくなる……?


今までのことをなかったことにする……?



そう考えたら、途端に寂しくなった。