「よく考えないで答え出すからだよ。今からでも遅くないから、断るなら断った方がいい」
鈴菜の言うことは、ごもっともだ。
私はよく考えもしないで、先生にほぼ毎日会えるっていう甘い蜜の誘惑に負けてしまった。
だけど。
「私、断らないよ」
「どうして?休みも殆どないよ?」
「でも、一度やるって言ったことだもん。無責任に辞めるなんて出来ないよ」
無責任にオーケーしたことだけど、決めたからにはちゃんと責任持ってやりたい。
これは私が小学生の時、お父さんが亡くなる前に言ってたこと。
“自分の行動に責任を持てないような大人にはなるな。自分に正直に、自分自身に嘘をつくな”
この言葉は、私の中で今もしっかり残ってる。
私の、お父さんとの思い出の一つなんだ。
鈴菜はキョトンとした後、「ふふ」っと笑った。
「私、雅のそういうトコ好きよ」

