「そうか……だよな」 先輩は少し間を置いてそう言うと、その手を離した。 長時間掴まれていた手首は、ほんのりと赤い。 「悪かったな。邪魔して」 ふ、と自嘲したような笑みを浮かべると私に背を向ける。 その背中が寂しそうに見えて、胸が痛んだ。 それに先輩、いつもと違う。 悪かったな、なんて今更だし。 そもそも、邪魔するって宣言してたくせに。 私からしたら邪魔されなくていいから、その方がいいんだけど。 でも、何だろう。 先輩の寂しそうな姿をみると。 何か、胸の奥が…痛い。