俺様主人は時に甘い


先生の言葉は、そんな不安な私の心をスッと軽くしてくれた。



二階に上がり、ベッドに横たわる。


目を閉じて先生の声を思い出すと、温かい何かがじわーっと胸に染みた。



先生ってどんな顔をしてるんだろう。


どんな顔で怒って。


どんな顔で泣いて。


どんな顔で笑うんだろう。




「田中陽平先生、か」



胸に手を当てる。


先生のことを考えると、なぜか心臓がドキドキして。



胸が苦しくなった……




◇◆◇



「……」



私の話を無言で聞いていた先輩は、話が終わった後何かを考えるように眉を寄せた。


その間も、ずっと手首を掴んだままで。



「先輩。そろそろ手、離してくれません?」



どさくさに紛れてこの人はいつまで掴んでるんだ。


そろそろ解放してほしいんですけど。



だけど、先輩の耳に私の言葉は届いていないようで離す気配は全くない。