俺様主人は時に甘い


『よく頑張ってる。頑張り過ぎだってぐらい』



何でこの人にはわかるんだろう……



『寂しかったらいつでも言えよ。すぐに駆け付けるから』



この人とは、昨日初めて顔を合わせて。


満足に話だってしてないし、向こうが私の顔を覚えてる可能性だって低い。


初対面の人なのに。


どうして私が欲しい言葉をくれるんだろう。



『今日は安静にして、行けるなら病院に行って寝てろよ?頑張るのは良いが、体調が悪い時ぐらい休め。わかったな?』


「はい……」


『よし。じゃあ、またな。学校で会えるのを楽しみにしてるよ』



そう言って、先生は電話を切った。



先生の声が聞こえなくなって寂しさを感じる。


最初は不機嫌そうというか、無愛想な人だなって思ったけど。


全然違った。


あれだけの情報で、私の気持ちをわかってくれるような人。


そして、先生の声は人を思いやる優しさと温もりで、聞いていて凄く心地が良かった。