「お前な!俺がどれだけ心配したと思ってるんだよ!」
「心配してくれなんて頼んだ覚えはありませんっ」
っていうか、こんな普通に話し掛けてくるなんてあり得ない。
まさかこの人、この前のキスのこと忘れてるんじゃないの?
それとも、やっぱ先輩にとったら取るに足らないことだったって…そういうこと?
あれから数日。
先輩と普通にする自信がなくて避けて過ごして来たのに。
まさか、それさえも堪えてないというか、何とも思ってないんじゃ…
「まぁまぁ」と先生が仲裁に入る。
「笠原。落合は女の子だぞ?もう少し優しく出来ないのか?」
先生の言葉に、先輩は「あ?」と怒りの矛先を先生に変えた。
「陽平。こいつに手出すなって言ったろ?」
「ああ。言われたけど、手出してたわけじゃない。掃除を手伝ってもらってただけだよ。それに、落合は笠原と付き合ってるわけじゃないって言ってたぞ?彼氏でもないのに、そんなこと言う権利あるのか?」
先生は先輩にピシャリと言ってのける。
先輩は悔しそうに眉を寄せると、私に目を移して手首を掴んだ。

