俺様主人は時に甘い


「先輩っ‼︎」



呼吸を荒げた先輩は脇目も振らず、ただ一点、私を見つめたままズカズカと近付いてくる。


やがて、私の目の前で足を止めると、ホッと息を吐いたように見えた。



「馬鹿っ‼︎」



……馬鹿?


どういうこと?


勝手に入ってきて、先生との良いところを邪魔して。


詫びもせずに、第一声が馬鹿?



信じらんないっ!


やっと勇気が出て、その他大勢から抜け出す時が来たっていうのに!



「馬鹿って何ですか⁉︎」


「馬鹿は馬鹿だろーが!」



はあぁ‼︎⁉︎


何よそれ!そんなこと聞いたんじゃないわよ!



「馬鹿に馬鹿って言われたくないですーっ‼︎」



こんな言い合い、中学生…いや、小学生レベルだけど。


一言何か言ってやりたくなる。



もう!先生にこんな姿見せたくないのにぃっ‼︎