俺様主人は時に甘い


レモンティーって、こんなに美味しかったっけ……


先生から貰ったそれは、今まで飲んだ飲み物全てに勝るほど美味しく感じる。



「落合」


「はい?」



先生は折りたたみ椅子に座って缶コーヒーをグイッと飲むと、真剣な顔で私を呼んだ。



「本当に笠原と付き合ってるの?」



突然の質問に、口に含んだレモンティーを勢いよく吹き出しそうになった。


少し口角から垂れそうになったそれを手の甲で拭うと、誤解を晴らそうと拳を強く握る。



「付き合ってません!あれは先輩が私をからかって言っただけです!」


「やっぱり。だよな」


「やっぱりって…先生、気付いてたんですか?」



先生はてっきり勘違いしてるんだと思ってた。


でも、あれが先輩の嘘だってわかってくれてたんだ。



「ん?まぁな。落合の様子でわかるよ」


「そうですか」


「悪いな。笠原には俺からも言っとくから」



なんか、凄い嬉しい。


私の反応をちゃんと見て、わかってくれるなんて。



先生のそういうところが好き。


生徒の変化に敏感で、よく見てる。




私なんて、電話越しの声だけでバレちゃったんだよね…


それで先生に甘えちゃって、好きになったんだ。