「悪い。直してくれる?」
「え⁉︎」
直す?それはつまり…
先生に触るってこと?
「は、はい…‼︎」
重大任務だ。
先生の服が濡れないように、袖を捲る。
その役目(傍から見たら全然重大でも何でもないけど)が、私…
しかも、先生に触れる……?
ヤバい、急にドキドキしてきた。
私は一度ゴクッと唾を飲み込むと、先生に近寄って袖に手を伸ばした。
呼吸をした時に肩が揺れただけで、触れ合える距離。
先生の息遣いも聞こえる。
微かな先生の香水の香りも感じる。
下手したら、私の煩い心臓の音が先生に聞こえてしまうんじゃないんだろうか。
手が震える……
緊張からか、上手く袖が捲れない。
自分の不器用さを呪うよ、ホントに……