「悪い、落合。それ取って」
「これですか?」
先生に言われた物を取って渡すと、先生はいつもの飛びっきりの笑顔で「サンキュ」と笑った。
私、幸せだ…
先生の笑顔を独占出来るなんて、世界一幸せだ。
サッカー部のマネージャーになるまでは、先生とこんなにお近付きになれるなんて思ってもいなったのに。
こうなれたのも、悔しいけど私をマネージャーに推薦してくれた笠原先輩のお陰だ。
そこは……そこだけは、感謝だな。
「よし。これで終わり」
先生は軍手を外し、「ふぅ」と袖で額の汗を拭う。
「落合が手伝ってくれたから早く終わったよ。ありがとな」
「いえ。私なんて何もしてません」
「そんなことないよ。ホント助かった。また、借りが出来ちゃったな」
私が今、先生といる此処は社会科準備室。
暫く掃除していなかったこの部屋を、先生と二人で掃除していた。
何でこんなことになっているのか。
それは、昼休みのこと。