先輩達は準備体操の後、サッカーを始めた。



「ああ、無邪気な顔しちゃって…」



腹が立つ。


私が泣いて走り去った所で、先輩は何も思わないんだろうな。


私はこんなに悶々としてるのに。



「…バーカ」



隣りに座る鈴菜にすら聞こえないぐらい小さい声で呟く。すると、



「っっ」



先輩が突然立ち止まって、こっちに目を向けた。


咄嗟に机に突っ伏して顔を隠す。



今…こっち見た?


相当の地獄耳?それとも、私の念が通じた?



……いやいや、まさかね。


あり得ない、あり得ない。




そろ〜っと、再び窓の外を覗く。


すでに先輩はサッカーに夢中になっているようで、ほっと胸を撫で下ろす。



ああ、私。


これから先、先輩が引退するまで。


無事にマネージャーをやり遂げられるのかな…



「不安だぁ…」



授業中ということも忘れて、「はぁ」とため息を吐くと、再び机に突っ伏した。