俺様主人は時に甘い


「何でキス、するんですか?しかも二回も」



先輩の真意がわからない。


何で私にキスするの?


何のため?何が目的?



「何でかって?そんなの決まってんだろ。お前と陽平のことを邪魔する為だよ」


「邪魔って…どうして」


「暇潰し。面白いからだよ」



暇潰し…


面白いから…?



「何よ…それ」



酷い、酷過ぎるよ……


暇潰しに人の恋を邪魔するって何?


面白いからって人の気持ちで遊んでもいいと思ってんの?



グッと下唇を噛み締める。


悔しい…悔しい、悔しい……



「今のこと、陽平にバラされたくなかったら俺のペットになーー」


「最低」


「は?」


「……先輩なんて大っ嫌い‼︎」



私は先輩の顔も見ずにそう叫ぶと、一目散に走った。



走って、走って、走って。


息が切れるまで走って。


誰もいない静まり返った家の自分の部屋に飛び込むと、ドアを背に座り込んだ。