俺様主人は時に甘い


情けない…さっきまで強気だったのに。



先輩から逃げようも、時すでに遅し。


背中にはざらりとした高い壁が立ちはだかっている。



「お前、陽平が好きなんだっけ」


「そ、それが何かっ」



ささやかな反抗。


相変わらず可愛くない言い方に、自分でも嫌気が差すけど。


先輩相手に可愛くなくてもいいかな、とも思ってしまう。



「わかってねぁな、お前」



え…?と、口を開こうとしたその時。


両手首を壁に縫われると、言葉ごと唇を塞がれた。



「んんんっ……‼︎」



すぐ目の前には、目を瞑る先輩の顔。


さらりと額に触れる髪。


唇に感じる温もりと感触。



私、またキスされちゃってるのーーー⁉︎




「ちょ……離し…っっ」



少しの隙を見て、顔を横に向けて逃げるもすぐに追い掛けてくる唇。


それは、押し付けるように強引で。


何度も何度も角度を変える。