「雅!早く行きなって」



鈴菜までもが興奮気味に私の背中をバシバシと叩いて急かす。



早く行きたいけど。

早く行かなきゃいけないんだけど…


体が緊張でガチガチに固まって動かないんだよぉ…



軽く深呼吸をして、何とか先生の元へ向かう。


先生の後ろで雪乃が私を物凄い目付きで睨み付けてるけど、そんなの気にしてられないぐらい私の心臓はうるさい。



「な、何ですか…?」



口に出して後悔した。


何でもっと愛想良く出来ないよ!私!


こんなんじゃ、ただの無愛想な生徒じゃん…



だけど、先生はそんなこと気にしてないようで。



「緊張し過ぎだっつーの」



そう言って、ははっと目を細めて笑った。



きゅん、と胸と喉が締め付けられる。



先生が笑ってる。


先生は皆の先生で、先生の笑顔も皆のもの。


だけど、今のは私だけにくれた、些細だけど極上な笑顔。