それに、近過ぎる先輩の唇が、さっきのキスを思い出させて。
更に心臓が加速し始めた。
もう早く離れてよ!
恥ずかしさの限界に達しそうになった時、先輩お得意の爆弾が投下された。
「ミヤは俺のペットだろ?」
「……はい?」
「俺が拾ったんだから、他の奴に馴れ馴れしく可愛がられてんじゃねぇよって意味」
そう言うと、先輩は「躾けが必要だな」と含みのある笑みを浮かべると、颯爽と校庭に戻って行った。
ああ……なるほど。
そう言うことですか。
私は自分のペットだから、誰かにからかわれるのは気に食わないって、そういうことですか。
はい。全て解決。
それで全てが納得致しました。
「………」
納得した途端、ふつふつと募る苛立ち。
私、いつからあなたのペットになりましたっけ?
小野寺先輩のKYから助けてくれた時の、ほんの少しの感動を返せ!
私の身体中の細胞がざわめき立つほどのドキドキを返せっ!
「むかつくむかつくむかつくっ!」
水道に汚れたゼッケンを放り込み、それを先輩に見立てて乱暴に揉み洗う。
先輩も揉みくちゃにされちゃえばいいんだ!なんて、訳も分からない思いをゼッケンにぶつけていると。

