「ほら、今人気の猫だよ!小さくて丸くて……」
またしても猫……
しかも小さくて、丸い…?
「ダックスみたいに足が短くてさ」
足が…短い、だとぉ⁉︎
失礼しちゃうっ!何処まで人を馬鹿したら気がすむのよ!
「あっ!思い出したっ!マンチカーー」
「おい尊(たける)」
天の声でも言うのだろうか。
空気の読めない小野寺先輩に、もう少しで失礼な態度を取りそうだった私の耳に聞こえた笠原先輩の声。
「先生が呼んでるぞ」
「ああ、わかった。それより、なぁ慶吾。雅ちゃんって猫にーー」
「尊。早く行った方がいいぞ?先生キレてたから」
先輩はまたしても小野寺先輩の言葉を遮って、先生のいる方を顎で指す。
「うわ!まじかよ」
小野寺先輩は、「やべ」と舌を出しながら、ダッシュで校庭に走って行った。

