なんか、不思議。
自分がまさかサッカー部のマネージャーになるなんて。
サッカー部なんて、縁もゆかりもないとこだと思ってたのに。
椅子の下に転がったサッカーボールを手に取る。
初めて触るサッカーボールは、予想以上に硬い。
こんなの足で蹴ったら痛くてしょうがない。
サッカーって、ただボールを蹴るだけのスポーツだと思ってた。
私にはそれだけのつまらないスポーツだと思ってたけど、ここにいる男の子達は違う。
このボールに夢を見て、今を賭けてる。
このたった一つの白黒のボールに、青春を乗せてる。
私はサッカーのこと、よく知らないけど。
マネージャーをやるってことは、皆の夢を応援して、青春を共にするってことなんだよね。
「中途半端には出来ないや」
私が中途半端にするってことは、皆の青春と夢を蔑ろにするっていうことだもん。
ふと、先輩の名前の付いたロッカーで目を止める。
それにしても驚いた。
まさか笠原先輩がキャプテンだったとは。

