「放っといていいの?」
「良くはないけど…」
私は雪乃みたいに積極的にはなれない。
あんな風に自分をアピール出来ないし、そもそも先生とどうかなりたいとも思わない。
私は先生の声が聞けるだけで幸せ。
こうやって、毎日顔を見れるだけで幸せ。
先生と同じ風を感じられるだけで、幸せなんだ。
「落合!ちょっと」
先生のことを惚けて見つめていると、雪乃から逃げた先生が私を呼んだ。
「え…?私?」
突然のことに心の準備が出来てなかった私は、周りをキョロキョロと見渡す。
先生が私を呼び出すなんて、入学してからこの一ヶ月で初めてのことだ。
先生はドアの所で、穏やかな笑みを浮かべておいでおいでと手招きしている。
ヤバい、ヤバいヤバい。
あの先生が私を呼んでる。
誰よりも好きな田中先生が、私を手招きしてる…