先輩がいなくなって、一人残った部室。
ドキンドキン、と私の心臓の音が部室に響き渡ってるんじゃないかと思うぐらい大きな音を立ててる。
先輩…何なのよ…
意地悪で俺様で、ムカつくことばっか言って。
人をイラつかせる天才だと思ったら、急に悲しそうな顔して。
かと思ったら、顔真っ赤にして…
調子が狂う。
先輩といると、心が騒がしい…
そっと唇に触れる。
キス、されちゃったんだよね…?
好きでもない人に初めてを奪われて、嫌なはずなのに。
…そんなに嫌じゃなかった…かも。
「鎮まれ、心臓…」
煩い心臓を落ち着かせようと胸に手を当てて息を吐く。
だけど、暫く経っても心臓の鼓動が鳴り止むことはなかった。