「何でか知りたい?」
「べ、別に…いいです」
急に真面目な顔をする先輩に、つい口籠ってしまう。
だけど、騙されない。
これだって、私をからかう手段の一つ。
話に乗ったら絶対に駄目…なのに。
「俺と陽平、兄弟だから」
耳を疑うような発言に、「へ?」と気の抜けた声しか出ない。
先輩と先生が、兄弟…?
「親が離婚して苗字は違うけど、実の兄弟」
親が離婚…
そう言った先輩の顔が、一瞬悲しそうに見えて。
「似てないだろ?俺ら。だから誰も信じねぇけど。それに、陽平に比べて俺は出来悪いし」
何も言えなかった。
さっきまで意地悪そうに笑ってたのに。