「先輩だったんですね」
「なんの話?」
「入学式の翌日。私が先生を好きになったきっかけの電話。その相手、先輩だったなんて一ミリも気付きませんでした」
もし、あの電話が先輩だったって知ってたら。
私達の関係は何か変わってたのかな。
ううん。何も変わらなかった。
多分私は先生を好きになってたし、先輩とはやっぱり口喧嘩ばかりだと思う。
「先輩、私謝りません。先生を好きだった過去も私の中では大事な思い出の一つなんです」
私の初恋は、先生。
これは紛れもない事実で、大事な青春の一ページ。
「だけど、今は先輩が好き。先輩しか好きじゃない」
この先、先輩とどうなるかわからないけれど。
この恋は私の中でこの先の人生に絶大な影響を与えるだろう。
それぐらい、私の気持ちは大きくて深い。
「あの電話の日から私のこと見ててくれたんですよね?」
「は?……まさか…陽平のやつ」
先輩はチッ、と軽く舌打ちをすると、気まずそうに視線を逸らす。

