俺様主人は時に甘い


「あれ?覚えてない?入学式の翌日、学校休むって電話くれた時」


「その電話なら覚えてますよ。でもあの時は先生としか話してませんよね?」



あの電話で、顔もよく覚えていない先生に惹かれたんだもん。


あれは今でも忘れられない思い出だ。



「ん?……ああ、そうか。そうだよな」



何かを一人で納得して、ハハ、と笑う先生。


私は置いてけぼり状態で、何が何だかさっぱりだ。



「あの電話出たの慶吾なんだよ」


「え……?」



先生じゃなくて先輩?


嘘でしょ?だって、学校に掛けてちゃんと先生を呼び出してもらったんだよ?



「あの時、携帯で親父の病院に電話しててさ。ちょうど慶吾がいたから、本当はいけないんだけど代わりに内線に出てもらったんだよ。事務員に“今取り込み中だから折り返す”って伝えてくれって。だけど生徒からだって聞いて、外線出ちゃってさ」


「じゃあ本当にあの電話は……」


「慶吾だよ。俺宛に掛けてんだからまさか別の奴が出るとは思わないか」