俺様主人は時に甘い


「え……?あの屋上で…」


「屋上?何かありましたっけ?」



思い出しているような素振りを見せる。


少しわざとらしかったかな……


私、演技とか向いてないのかも。



私が心の中で苦笑いを浮かべると、先生は「落合……」と呟いた後少しの間を置いて、ふっ、と笑った。



「いや、何でもない。俺の勘違いだ」



多分、先生は全部わかってる。


わかった上で私に合わせてくれたんだ。


でも、これが一番良い形だったんだと思う。




「先生、礼奈さんにプロポーズしないんですか?」



これはちょっとした仕返し。


礼奈さんという素敵な彼女がいるのに、喧嘩したからって冗談で告白してきた罰だ。


少なくとも、礼奈さんの存在を知るまでは先生とどう接したらいいかとか何て返事したらいいかとか私なりに悩んだんだから。



先生は突然の質問に、タバコの煙を沢山吸ってしまったのかゴホゴホと噎せた。



「い、いきなりだな」


「ずっと気になってたので。二人は付き合いも長いし、適齢期だし。なんで結婚しないのかなって思ってました」