俺様主人は時に甘い


「遅かったじゃない!二人とも」


「何の騒ぎだ、これは」



先輩が礼奈さんを無視して自分の頭に付いたテープを取りながら聞くと、先生は「そんな怒んなって」と苦笑いを浮かべた。



「何って、慶吾の卒業&合格パーティーよ」


「だから言ったろ。クラッカーでサプライズなんてしたら慶吾は怒るって」



先生は先輩の露わにした怒りを感じるも、礼奈さんはそんなの気にしていない様子でケロっとしている。



「だってこうした方が面白いじゃない?一回やってみたかったのよね。待ち伏せしてクラッカー鳴らすの」



ふふふ、と上機嫌に笑う礼奈さんに、先輩も諦めたようで「はぁ…」とため息を吐いた。



「ささ。早く食べましょ。今日は頑張っちゃった」



礼奈さんとは、お父さんのお葬式で初めて顔を合わせた。


それからちょくちょく四人でご飯を食べたりして、すっかり仲良くさせてもらっている。