俺様主人は時に甘い


読み終えると、目尻から流れた涙を手で拭う。



お父さんの気持ちが痛いぐらいに伝わってきて、涙なしでは読めなかった。



一度壊れた家族。


だけど、時を経て再び家族になった。


もうお母さんとお父さんはいないけれど、その絆はなくなりはしない。


これからは先輩と先生の二人で育み、やがて二人に愛する家族が出来て広がっていくんだ。



「もっと早くに許してやれば良かった。そしたらもっと色んなこと話せたのに…ごめん…ごめんな、親父」



ゆらゆらと線香の煙が舞い上がる。


それに導かれて、天国にいるお父さんに先輩の言葉が届くことを願った。





◇◆◇


パーンッ!パーンッ!


「卒業おめでとうっ‼︎大学合格おめでとうっ‼︎」



先輩の家に着きリビングのドアを開けると、同時に鳴り響いたクラッカーの音。


キラキラテープやら紙吹雪が舞い、私達は驚きの余り一瞬固まってしまった。