俺様主人は時に甘い


【慶吾へ。


卒業おめでとう。

この手紙を読んでいるということは、父さんはもうこの世にはいないということだろう。

本当は、目を見て祝ってやりたかったけどごめんな。


慶吾が小学三年生の頃、父さんが不甲斐ないばっかりに家族全員に辛い想いをさせてしまって申し訳ないと思ってる。

父さんが犯してしまった過ちは、消し去りようがない事実だ。

あの一件で、母さんを傷付け、皆を裏切ってしまった。


だけど、これだけは信じてほしい。

父さんは、今でも母さんを愛してる。

父さんにとって母さん以上の女性はいない。


何年も一人で母さんを守ってくれて本当にありがとう。


父さんは慶吾がこんなにも男らしく立派な優しい青年に育ってくれて誇らしく思う。

最期に家族に戻れて良かった。

慶吾の成人した姿と孫の顔が見れなかったのが心残りだが、天国から見守ってる。


兄弟二人仲良く、幸せになれ。


慶吾。父さんの子供に生まれてきてくれてありがとう。

本当に、ありがとう。


父さんより】