私は先輩の手を解くと、代わりにその手を包み込んだ。 「大丈夫。ここにいます」 私はずっと先輩の隣りにいる。 どんな時でも一緒にいるから。 先輩は墓前で手紙を読み始めた。 鼻を啜りながら、お父さんの想いが込められた文字を追う。 頬をスーッと綺麗な雫が伝って、手紙を濡らした。 ややして、先輩が私に手紙を差し出す。 「いいんですか?」 私の問いに、先輩は頷く。 それを確認すると、手紙を受け取った。