だけど、一緒に暮らすようになって、お父さんと先生の説得もあり急遽進路を変えた。


もともと先輩は頭がいいから、受験勉強の遅れなんて全然感じさせなくて。


見事、国立大学に合格した。




ややして、先輩が目を開けた。


心なしか清々しそうな表情の先輩にホッとする。



「帰るか。陽平が美味いもん作って待ってる」



今日は先輩の家で夕飯をご馳走になる予定。


先生の彼女の礼奈さんは調理師で腕を振るってくれるらしい。


プチパーティーも凄く楽しみだけど、その前に私には大事は役目がある。




「先輩、待ってください」



先に歩き出した先輩を呼び止める。


先輩は「どうした?」と不思議そうに振り返ると、私は鞄の中から例の物を取り出した。



「これ、預かってました」



それは一通の手紙。


白い封筒に【慶吾へ】と、少しだけ震えた字で書いてある。



「手紙?誰から?」


「お父さんからです」



そう、先輩のお父さんからの最期の手紙だ。