最近、私の呼び方が“雅”で定着した。
前は“ミヤ”とか“お前”だったけど、そんな小さなことも嬉しく感じる。
「私は泣かないとは言えませんね」
本当に、卒業生よりも早く泣く自信がある。
今だって、先輩が卒業しちゃうと思うと堪らなく悲しくて鼻の奥がツンとしてしまうんだ。
「ったく、雅は無防備過ぎだから心配だな。いいか、泣くのは俺の前だけにしろよ?」
立ち止まって私を力強い目で見据える先輩に胸が跳ね上がる。
先輩の独占欲が私にとっては気持ちいい。
束縛とはまた違って、先輩の愛を感じる瞬間なんだもん。
「先輩、今日の約束覚えてますか?」
「ああ、親父の墓参りだろ」
卒業式の後、そのままお墓参りに行く予定だ。
ーーー大事な大事な役目を果たすために。