実はずっとお父さんと先生から言われていたことらしい。
親がいなくなったら、兄弟二人で手を取り合っていかなきゃいけない。
それに先輩はまだ未成年、高校生だし。
「私もその方がいいと思います」
学校からはほんの少し遠くなるけど、通えない距離じゃない。
「また引っ越し手伝いますね」
あのマンションに戻るつもりだったから、少し荷物が残ってる。
お母さんの遺品を整理して、それから家具などの処分とか結構大変な作業だ。
「サンキュ」
「いいえ」
二ヒヒと笑うと、先輩もつられて微笑む。
優しくて、だけど少し悲しそうな笑顔。
先輩の心が早く癒えますように。
心から笑える日が来ますように。
私は何度も何度も心の中で願った。