子供のように泣きじゃくったって、誰も私達を見てる人なんていない。
どれだけ嗚咽を繰り返しても、花火の音が掻き消してくれる。
隣にいる私だって、スターマインに魅入って先輩が俯いてることさえ気付かないから。
ーーーだから、沢山泣いていいんだよ。
夜空に上がる赤と白の花火。
その横で、小花のように小さい花火が散り、新たにまた柳のように垂れる大きな華が咲いた。
隣りに立つ先輩の肩が揺れる。
繋いでいない方の手で顔を隠し、その指の間から雫が落ちた。
小さく丸まった背中は、頼りなくて花火のように儚い。
この背中が以前のような広くて逞しい背中に早く戻りますように、と祈るだけだ。
《ゴミはお近くのゴミステーションか、又はお持ち帰りになるようお願い致しますーーー》
花火大会が終わると、観客が我先にと帰っていく。
私達は場内アナウンスをぼんやりと聞きながら、さっきまで人でいっぱいだった河原の芝生に腰を下ろした。

