俺様主人は時に甘い


「ならお父さんと先生と、皆で行きましょう!大勢の方が楽しいですよ!」



素直な気持ちだった。


皆で行けば家族の思い出を作れる。


それに私自身、自分の父親と花火を見た記憶なんてないから、お父さんとそういう思い出を作れれば嬉しいな、なんて思ってたりもする。


おこがましいけど、私はお父さんのこと本当の父親のように思っていた。



「私、父親を早くに亡くしてるから、父親の記憶ってないんです。だから、勝手にお父さんのこと父親と重ねてました。スミマセン」


「雅ちゃん……」


「嬉しいんです。こうやって一緒にスイカ食べたりテレビを見たり。何気ない一瞬が凄く」



何度も父親の夢を見てきた。


だけどそれは私の妄想が生み出した夢。


父親がどんな人なのか、私はあまり覚えていないから、私の中の父親像は私の理想でしかない。



「謝らなくていいんだよ。いくらでも父親だと思ってくれていい。私だって娘だと思ってるんだから」