「雅ちゃんのお陰でだいぶ慶吾も私に心を開いてくれるようになった。昨日なんて背中を流してくれたんだよ」


「私は何もしてませんよ」



先輩が背中を流したと聞いて嬉しくなる。


引っ越した当初は、先輩がお父さんと話さなくてどうなることかと、先生と二人で心配したこともあったけど。


やっぱり時間が解決してくれた。


お父さんが先輩に話し掛け続けていたら、少しずつだけど返事がするようになって今では普通に話している。


二人の関係を修復するのには時間が掛かるとは思っていたけど、予想以上に早く打ち解けたようだった。



「雅ちゃんはもう少し我儘になった方がいい。付き合い始めたばかりでデートというデートはしてないんだろう?今が一番楽しい時なんだから、二人の時間も大切にしなさい」



我儘になった方がいい、か。


私は今のままで十分我儘してるけどな。


先輩の側にいたい、これって世の女性から見たら最高の我儘じゃない?



「そうだ、今度近くの河原で花火大会がある。行ってきたらどうだ?」