「別に妬いてませんって」
「安心しろ。礼奈は陽平一筋だから」
先輩は私の言葉を丸っきり無視してニヤニヤ笑みを浮かべて言う。
やっぱり、誤魔化しきれないか……
「お前ってホント飽きねぇな」
そう言って、ポンポンと頭を優しく撫でる先輩。
ああ、私の負け。
こんなの胸キュンポイントだよ……
ヤキモチ妬いたのがバレるのも悪くないかも……なんて、思っちゃう私は馬鹿だ。
それにしても、先生についてさっき凄いことを言ってた気がする。
“礼奈と喧嘩すると他の女に手を出すから”
それって……浮気ってこと?
「あのぉ、他の女に手を出すって一体……?」
「ああ。陽平、ああ見えて女癖悪いから。教師仲間に卒業生、それからその辺の女ナンパしたり」
開いた口が塞がらない。
まさかあの爽やか先生がそんなことするなんて……
「だから前に言ったろ?あいつには気を付けろって」
確かに部室と屋上で二回言われた。
でもその時は全く意味がわからなくて、そんなに気にしてなかったけど。