俺様主人は時に甘い


◇◆◇

「で?荷造りが終わってないのは何故?」



ニコニコ笑顔の仮面を被った先生に、心の中で「ひぃ〜っ!」と叫び声を上げる。



「こいつが悪い」



私に罪を被せるのは、昨日甘々の王子様だった私の彼氏。



「先輩のせいじゃないですかっ‼︎先輩が離してくれないから…」



昨日の事を思い出して、恥ずかしさの余り小さくなる声。




先輩の引越し当日。


部屋の中は誰がどう見ても片付いてなく、荷物を運び出せる状態ではない。



「はぁ……お前ら、うざいしキモい」



う、うざい⁉︎キモい⁉︎


あの爽やか教師の口から“うざい”“キモい””だなんて似合わない言葉が出てきましたけど。


私の聞き間違いか何かですよね?



「ほら、突っ立ってないでとりあえずダンボールに詰めろ。業者がもうすぐ来るぞ」


「へいへい」



いつもより乱暴な言葉遣いの先生に対し、先輩は全く反省していないようで面倒くさそうに返事をした。