え……先輩?
どうして……愛想尽かしたんじゃないの…?
突然のことで思考が停止して。
ただ先輩の力強い腕と安心する温もり、熱い吐息を感じてドキドキが加速する。
「雅はホント素直じゃねぇな。ああ言えばこう言うし、すぐ拗ねるし」
本来、先輩に言われたら落ち込むようなことを言われてるのに全然落ち込むこともなく、むしろまだドキドキしてるから不思議だ。
それは余りにも先輩の存在が心地良くて、優しく甘い声だからだと思う。
「だけど、そんな雅が誰よりも可愛くて側に置いておきたいって思うんだから、俺も大概ヤバイよな」
誰よりも可愛くて、側に置いておきたい……?
先輩はそんな風に私を思ってくれているの?
「わ、私…捻くれてるのに。私で…いいんで、すか……?」
胸と唇が震えて、上手く言葉に出来ない。
「俺は雅がいいんだよ。雅以外、興味ない」
先輩の想いがこもった言葉が、鼓膜を震わせて全身に染み渡る。
先輩の想いで満たされていく私の胸の中に、先輩への“好き”が積もって溢れ出していく。

