俺様主人は時に甘い


だけど、もうそれも限界だ。


必死で顔を横に向けてキスから逃れようとすると、意外にも先輩はすんなりと唇を離してくれた。



「はぁはぁ……」



部屋に私の息遣いが響く。


先輩は余裕な表情で私を見下ろすと、ニヤッと笑った。



「これは俺が預かっとく」


「へ……?」



私の上から退いた先輩は、紙切れをヒラヒラと靡かせて私に見せる。



「あっ‼︎」



あれはもしや、写真?


写真を入れたパンツのポケットに手を突っ込んで確認すると、そこにそれはなくて。



や、やられた!


私の気を逸らさせて……


キスに夢中にさせて……


その間に抜き取ったんだ。



なんて手癖の悪い策士なんだ、この人は。



「返して下さい!」


「ヤダね」



子供みたいに舌を出す先輩にムカッとしたけど、私に為す術がない。


もうこうなればヤケだ!



「先輩のケチ!それぐらいいいじゃないですか!」


「ふん」


「意地悪!非道!人でなし!鬼!悪魔!」