さて、先輩にやり返せて気が済んだし、荷造りに戻ろう。


私がCDやDVD、本をダンボールに入れるのに取り掛かろうとしたその時。



「きゃあっ‼︎」



突然後ろから腕を引かれると、一瞬で背中はひんやり冷たい床につき、目の前には先輩の怒り気味の顔がある。



ええっとぉ……これは一体どういう状態なんでしょう……



「あの……先輩」


「ふ。まさかあれを出してくるなんて驚いた。お前にしてはよくやったよ」



先輩の不敵な笑みに、血の気がサァーッと引く。



先輩、怒ってらっしゃる?


これはヤバイ状況……?



「だが、甘いな。隙を見せたお前の負けだ」



ゴクリ。


自分の唾を飲む音が、危険信号の音に聞こえる。


逃げなきゃ……


だけど、先輩に押し倒されてるこの状況。


逃げ場がない。



「せ、先輩。ちょっと落ち着きましょう」


「俺は落ち着いてる」


「早く荷造りしないと間に合いませんよ」


「平気だ。夜にやればなんとか終わるだろ」