だけど、私だってやられるだけの弱い女は卒業しました。



「そんなこと言っていいんですか?」


「……何だよ」



先輩が怪訝な表情で見てくる中、鞄の中にある物を取り出す。



「ジャジャーンッ‼︎」


「っっ!なっ!なんでそれ、お前が持ってんだよ‼︎」


「戴いたんです。お父さんから」



私が手に持つそれは、先輩の幼き日の写真で。


動物園で羊に囲まれて、鼻水を垂らしながらギャンギャン泣いてる何とも可愛らしい一枚だ。



「ふふ。先輩、可愛いですね。先生曰く、羊には未だに近付かないんだとか。先輩にも苦手な物があったんですね」


「返せっ!」


「駄目です。これはお父さんから貰った私の宝物なんですから」



写真はパンツのポケットに入れて、取れるもんなら取ってみろと言わんばかりにわざと口の端を思いっきり上げて笑った。


案の定、顔面蒼白の先輩。


初めて見る先輩の姿に、少し罪悪感を感じつつ。


へへん!これぐらいの仕返しならしてもいいよね。


なんて、意地悪な自分がいたりして。