「先輩!これはどうします?」
「あー、それは置いてくわ」
「じゃあこれは?」
私が先輩愛用のタオルケットの次に手に取ったのは、これまた先輩愛用の大きい低反発の枕。
「それは持ってく」
先輩は枕の柔らかさ・高さが変わると寝つきが悪くなるそうで、長期で外泊する時はふた回り小さい旅行用の物を持っていくらしい。
ついでに言うと、寝る時は抱き枕か掛け布団を脚の間に挟まないと眠れないとか、寝る時は豆電球をつけてないと駄目だとか。
意外とそういう所がお子様みたいで、そのギャップが堪らない。
意地悪な先輩の可愛い部分に触れてニタニタしていると、先輩から鋭い視線を感じた。
「何その顔。まじキモい」
「なっ‼︎キモいって酷いですよ‼︎」
「俺は本当の事を言ったまでだ」
くぅ〜っ‼︎むかつくぜ‼︎
相変わらず先輩は先輩のままだ。
お父さんと和解して少しは大人しくなるかなぁーって思ったけど、全っ然‼︎
そんなこと一ミリでも期待した私が馬鹿でした。