だけど、あのお父さんならきっと大丈夫。
分かり合えるはず。
だって、お父さんは先輩が大好きなんだから。
先輩だって本当は……
「思いっきり親子喧嘩してきて下さい。私、ここで待ってますから」
親子喧嘩だっていい。
目を合わせて、言葉を交わす事が大事。
同じ空気を吸って、その時を一緒に過ごすのが大事。
生きてるからこそ、尊い命があるからこそ出来る事であって、失ってからでは遅い。
残りの時間を大切にしてほしい。
「お前、ホント生意気。ペットのくせに」
そう言って立ち上がった先輩の目は若干赤くて。
だけど、その表情はいつもの意地悪王子だった。