俺様主人は時に甘い


「学校では休み時間も移動も一人。毎日憂鬱で、早く月日が経つことだけを願っていました」



寝る前に毎日欠かさず付けたカレンダーのバツ印。


卒業までの日にちを数える度に、時間が経つのを遅く感じて泣きたくなった。



「“ずっと一人ぼっちは嫌だ。高校ではこんな自分を変えてやる!”って、それを目標に勉強を頑張って誰も進学しない学校を受験しました」



私を知る人がいない場所で、ゼロからスタートしたい。


そう思って受けた高校は、見事合格。


私は高校デビューのスタートラインに立った。



「だけど、やっぱり性格ってそんな簡単に直そうと思って直せるものじゃないんですね。高校入ってからの私は、全然変わってなくて」



鈴菜と友達になれたのは、鈴菜が話し掛けてくれたから。


みどりちゃんと香澄ちゃんだって、二人が一人の私に声を掛けてくれたからで、完全なる受身だ。



「大事な友達が苦しんでることにすら気付かなくて」



長年自分の気持ちを押し殺して自分を大事にしてこなかった私に、他人の気持ちを敏感に捉えることなんて出来るはずがなかった。