俺様主人は時に甘い


それなのに楽しかっただなんて……


先輩、意外とMだったり?


そんなこと先輩に言ったら、後で何されるかわからないけど。



「あいつにとってはそれが良かったんだよ」



私達の話をどこから聞いていたのか、先生が花瓶を持って入ってくるなりそう言うと、お父さんまでもがウンウンと頷く。



「え、やっぱり隠れマゾ……?」



つい心の声が漏れて、咄嗟に口を塞ぐも時すでに遅し。



「そう言われればそうかもしれないな」



お父さんと先生は吹き出すように笑って言った。



「素を出せる相手がいて心地良かったんだと思う。あいつは無意識に偽の仮面を被っていたけど、それは本人が思ってる以上に精神的に来ていたんじゃないかな」



確かに、ああやっていつもキラキラスマイルを浮かべて優等生を演じるのは凄く疲れそうだ。


私だったら…想像するだけで無理。



「毎日毎日仮面を被ってるうちに、いつか自分の本当の顔がわからなくなるんじゃないかって心配してたんだが、落合さんのような可愛らしくてしっかりした彼女がいれば慶吾も大丈夫だな」