俺様主人は時に甘い


「何度も何度も陰ながら様子を見に行ったけど、その度に昔の無邪気な慶吾の姿は消えて笑顔という仮面を被った優等生になっていった」



笑顔の仮面。偽った先輩の姿。



私が先輩を初めて見た時もそうだった。


無駄にキラキラスマイルで、良く言うと現代の白馬の王子様的存在だけど、悪く言うとあの笑顔は胡散臭くて表裏がありそうな感じだ。



「高校に入学してからも陽平に慶吾の様子を聞いていた。高校では仮面姿に更に磨きが掛かってたようだが、三年になってすぐ慶吾が少し変わったと、陽平が興奮気味に言うもんだから私も見に行ったんだ。そうしたら部活中のあいつを見て驚いた。それはもう楽しそうで本気で笑ってて…涙が出たよ」


先輩が、本気で笑う……?


先輩に目をやると、先輩はまたもや咄嗟に私から目を逸らし「便所行ってくる」と外へ出て行ってしまった。



「ハハ。あれは照れてるんだよ。あいつが楽しそうに学校へ行くのは君と出会ったからだ」


「私とは最初言い合いばかりだったんですよ」



先輩の素を見たあの日から思い返してみると、大半は口喧嘩をしていた記憶しかない。