「そうか……慶吾が」
「お父さんはオレンジの花が好きだからって」
「覚えててくれたんだな」
お父さんは柔らかい瞳で花を見つめる。
何か思い出してるような、そんな遠い目だ。
「この花はね、母さんが好きな花だったんだよ」
「お母さん…?」
「陽平と慶吾の母親だ。結婚式もこの花をベースにしてオレンジで統一したり、家の花壇もガーベラ一色だった」
お父さんの話で、ハッとした。
先輩の家のオレンジ色のカーテンはやっぱりお母さんが選んだ物だったんだ。
先輩を再びチラッと見ると、さっきとは打って変わって切なそうに目を細めていて。
お母さんのことを思い出しているんだと思うと、胸が苦しくなった。
「陽平。悪いが花瓶に水を汲んできてくれ」
「あ!私がやります」
そう言ったはいいものの、「いいから。落合はここ座って」と先生が丸椅子を出してくれたので、ここは言う通りにして椅子に腰を下ろした。

