「ここだよ」
先生は807号室の前で足を止めた。
札には田中晴一(タナカ セイイチ)と書いてある。
個室のようだ。
「落合?どうした?」
「えっと……ちょっと緊張しちゃって」
さっきまでは平気だったのに部屋の前に来た途端、急に緊張してきた。
これから先輩のお父さんに会うんだよね……
ちゃんと挨拶出来るかな。
私、緊張すると早口になってすぐ噛んじゃうし。
って、その前にこの服装変じゃない?
派手過ぎず地味過ぎず、なるべく大人っぽいやつにしたんだけど。
あ!やばい。化粧直ししてないや……
汗でテカってるかも。ファンデーションだって浮いてないかな。
お父さんに変にーーー、
「こらっ」
「痛っ……!」
頭の中で色々不安になっていると、突然先輩が頭を軽くチョップしてきた。
「な、何するんですかぁ…」
先輩にとっては軽くでも私にとっては結構痛くて、チョップされた部分を撫でる。