「会わなくていいんですか?」
昨日、先生が渡した手紙にはお父さんの気持ちが込められている。
テーブルにその手紙が置いてあるということは、先輩もそれを見たはず。
それで悩んで、今日学校を休んだ。
学校を休むぐらい先輩は迷ってる。
お父さんを許せない気持ちと、心の奥底にはお父さんと会いたい気持ちがあって。
葛藤してるんだと思う。
「自分があと半年しか生きられないから、死ぬ前に謝らせてくれって都合良すぎないか?結局、自分が楽になりたいだけだろ」
先輩の言うことはごもっともだ。
都合良すぎる。
謝りたければ、今までいくらでも時間はあったはず。だけど。
「本当に自分のためだけでしょうか」
自分が楽になりたいからっていう理由だけじゃないと思う。
本当は、愛する息子達のためなんじゃないかな。
お父さんが亡くなったあと、先輩の中にお父さんに対しての憎しみだけが残ったら?
それは一生先輩の心の闇となって、この先晴れることはない。

