俺様主人は時に甘い


先輩のお父さんからの手紙。


昨日は捨てていたけど、ゴミ箱から拾って読んだのかな……


私は手紙を読んではいないけど、先生から聞いた話を思い出して涙が出てくる。


お父さんの気持ちが先輩に届けばいいと思う反面、先輩にはもう傷付いて欲しくないとも思う。


どっちを選べば先輩にとって幸せなんだろう。


私はただ先輩の出した答えを応援するしか出来ない。



寝室のドアをゆっくりと開ける。


少し開いたドアから中を覗くと、先輩がベッドに横になってるのが見えた。



そっと中に入ってベッドに近付く。


一歩、また一歩。


緊張が高まる。



寝てるのだろうか。


目を閉じて、長い睫毛が影を落としている。


サラサラの髪を撫でると、突然先輩がバタバタッと起き上がった。



「っっ……ミヤ?」


「ご、ごめんなさい……勝手に入って。今日連絡無しに学校休んでたから、先生に様子を見に行ってくれって鍵預かって」